2015.11.14 sat
子どもフェスティバル
子どもフェスティバルは2年に1度行われています。3~5歳児の子ども達が参加します。この子どもフェスティバルは「誰かの為に役立つことが喜びとなる」という思いを胸に、子どもたちが主体となって色々と考え発案したものです。子ども達の思いによって集められたお金は必要としている人達に寄付されます。
今年の子どもフェスティバルには、カラオケ屋さん、折り紙教え屋さん、カレー&麦茶屋さん、マッサージ屋さん、カメラ屋さん、電車屋さん、髪の毛結び屋さん、雑貨屋さん、クッキー&ケーキ屋さん、アイスクリーム屋さん、金券売り場屋さんがありました。そしてフェスティバルの最後にオリジナル劇の発表がありました。
お店の内容や飾りつけなどは子ども達の話し合いで決まります。どうすればお客さんが喜んでくれるか?楽しんでくれるか?誰かの事を思い考えながら、お店は形になっていきました。
○カラオケ屋さん
お客さんに気持ちよく歌ってもらう為に店員の子ども達は考えました。マラカス、タンバリン、鈴を持って盛り上げよう。被りものを用意して変身して歌ってもらおう。歌詞カードも用意して、ステージ、看板も作りました。さあ本番です。「いらっしゃいませー。」「カラオケいかがですかー?」としっかり声かけもして、お客さんを迎え入れていました。照れた感じで歌うお客さんには、一緒に歌ってあげたり、鳴り物でしっかり盛り上げていました。歌い終わると、鐘がなり、「お上手~!」とほめてくれます。可愛い声に思わずこちらも笑顔になってしまいます。90分の営業時間の間、店員の子ども達は頑張っていました。後半は疲れた表情もたまに見せていましたが、お客さんの前ではバッチリ盛り上げてくれました。
○折り紙教え屋さん
子ども達は、自分で折れるものを選びました。自分では折れるけど、人に教えながら折るとなると相手のペースに合わせる必要もあり、一段と難しくなります。子どもたちは、お家の人にお客さん役をしてもらい練習をして本番を迎えました。看板はどこが見やすいかなど考えながら準備を進めていました。ハートや船の折り紙は、テープを付けてバッジ風にする事を思いついたり、自分の所にお客さんがいない時は受付に回るなど、臨機応変に対応していました。小さいお客さんの時は、折ってあげるなど自然と相手によって変えている姿は思いやりに溢れていました。行列が出来るほど大人気でした。やり終えたみんなの表情は、晴れ晴れとしてとても満足感あふれるいい顔をしていました。
○カレー&麦茶屋さん
コック帽とエプロンをつけ気分はもうカレー屋さんそのものです。カレーをよそる見本を先生に見せてもらうと、子ども達から自然と役割分担の話し合いが始まりました。それぞれのやりたい係を決め、お客さんを待つばかり!ところが、子ども達のやる気とは裏腹に、朝10時から開店という事もあり、なかなかお客さんがきません。そんなことではへこたれない子ども達!自ら声かけをはじめました。「いらっしゃいませー!美味しいカレーいかがですかー!」と大きな声で呼び込みました。そのお蔭で沢山のお客さんがきてくれて、お店は大忙しです。途中、「こっちがやりたい」という年少さんに「いいよ。」と代わってくれる年長さん。係を交互で行うことにしました。自分たちでカレーを振る舞っている姿はかっこよかったです。多少カレーの量にばらつきはありましたが(こういう所が可愛いですね。)、大好評のうちにカレーは完売しました。90分立ちながらの作業にも関わらず、疲れも見せず最後まで大きな声でご案内をしていました。その時の子ども達の笑顔は、やり切った自信と誰かの為に頑張った優しさに満ち溢れていました。
○マッサージ屋さん
アロマの香りに包まれ、そこはまさに癒しの空間でした。子どもたちがハンドマッサージや背中のマッサージをしてくれます。小さな手で私たちの体をほぐしてくれました。「いらっしゃいませ。メニューはどれがいいですか?」「力はどうですか」など、配慮の行き届いた接客をしてくれました。実は前日の予行練習では、カチンコチンで、先生も慌ててしまったそうですが、本番はそんな事を微塵も感じさせない立派な接客でした。なんと店員4人で70人のお客さんをスムーズにご案内しました。マッサージは直接肌と肌が触れ合い、時間を共有し真正面から人と向き合います。自分の心と向き合い、相手の心とも向き合い、自分を信じて対応しなくてはいけません。「誰かのために」ではじまった行いが「私」の大きな成長の糧になっていたようです。やり終えたみんなの
顔はとてもいい表情でした。
○カメラ屋さん
インスタント写真を撮ってくれ、その写真をお手製のかわいい台紙に貼ってくれます。4人の店員さん達はそれぞれ役割分担をして頑張りました。「いらっしゃいませー」「カメラ屋さんでーす!」と大きな声で呼び込むもなかなかお客さんが来てくれませんでした。そこで子ども達で相談し、ドアのところまで行ってみる?下まで行って声かける?など呼び込み方を考えて実践していました。するとお客さんが来てくれて、「待ってました!」といわんばかりに大はりきりでご案内していました。きちんと写真に収まるように、「大人の方はしゃがんで下さい」と声をかけたり、自ら動いてシャッターを押す位置を調節したりして、よく考えて動いていました。「ハイチーズ!」のタイミングで笑わせ役の子が面白い顔をして出てくるという連携プレーもばっちりでした。もっとお客さんに来てほしい思いから、「今ならすぐ撮れますよ」「きれいに撮りますよ」と大きな声で呼び込みをしていました。後半集中力がきれそうになりながらも、お客さんが来た時は気持ちを切り替え、最後までしっかりと役割をこなすことができました。
○電車屋さん
キャスターの付いた箱を電車にしてテラスを往復してくれます。電車屋さんの子どもたちはやる気満々でアイディアを沢山出し合い、準備をしてくれたそうです。駅長さんが笛を吹いてくれて出発です!電車も子どもが押してくれます。旗をふってお出迎えもしてくれました。「こちらへどうぞ。」とお客さんを席まで案内したり、小さな子が乗った時は、電車を優しく押していたりと子ども達の優しい、おもてなしをしようとする気持ちが伝わってきました。90分間、疲れながらも最後まで自分の役割をやり遂げていました。この達成感は、いつまでも忘れる事はないと思います。
○髪の毛屋さん
女の子店員の2人が、お客さんの髪を三つ編みしてくれたり、髪をとかしてきれいにしてくれます。数日前から、友達の髪で三つ編みをしたり、「いたくないですか?」と話しかける練習をして本番を迎えたようです。最初は、小さな声で「どうぞ」というのが精一杯な様子でしたが、お客さんから「とっても上手にやってもらって嬉しい」の声に、強張っていた表情が和らぎ、接客も積極的になりました。お店が終わる頃には、自信に満ちた店員さんになっていました。
○雑貨屋さん
子どもたちもお手伝いして作った手作りのブローチ、髪飾りなどが並ぶ可愛い雑貨屋さんです。店員の子ども達は、雑貨の種類をわかりやすくする為に、みんなで協力してプレートを作りました。お客さんも沢山来てくれて、自然とお金をもらう人、品物を渡す人に分かれて手際よく接客していました。商品が少なくなると、自分たちで補充したりと大忙しでした。自分のお母さんが買いに来てくれると、嬉しそうにすすめていました。でも、お母さんの姿が見えなくなると、寂しくなってしまう子もいましたが、何とか立て直し最後まで頑張っていました。みんなそれぞれ、自分の気持ちと向き合い、折れそうな心と向き合い、自分の役割をやり遂げていました。最後に見せてくれたみんなの達成感にみちた表情が印象的でした。
○クッキー&ケーキ屋さん
子ども達の手作りクッキーとご近所のカフェの方が出店してシフォンケーキを販売してくれました。最初、やや不安げな店員さんたちでしたが「がんばるぞ!おー!」のかけ声で、子ども達のスイッチが入ったのかやる気に満ちた表情に変わりました。クッキーにはお茶がセットになっていて、子ども達はお茶を注ぐのに集中していました。取っ手を握りしめ、ふたをしっかりおさえ、こぼさないように丁寧に一杯一杯注いでいるのが印象的でした。ケーキは、クリームを絞り、フルーツをのせてお客さんに渡します。優しいカフェのお兄さんと一緒にルンルンでケーキを売っていました。1人1人のお客さんと丁寧に向き合い、1つ1つの動きをしっかり自分のものにして売っていました。完売した時の満足そうな顔、とてもキラキラ輝いていました。
○アイスクリーム屋さん
カップにアイスを入れてポッキー、きのこの山などトッピングをしてくれます。可愛い店員さんたちはやる気満々でした。「私たちは今日、お店の店員ですから!」といった感じで頼もしかったです。年中の子が年少の子をそっと見守ってくれていて、必要な場面で手を添えてくれていました。はにかみながらも懸命に、お客さんに声をかけている子もいました。きのこの山を1つずつまっすぐに盛り付けていました。トッピングに集中するあまり、スプーンを渡すのを忘れる場面もありました。1人1人自分の役割に正面から向かっていきました。最後まで頑張った子ども達は、達成感と充実感に溢れる表情でした。
○金券売り場屋さん
一番かなめのお仕事です。100円券の販売です。「5枚つづり」「3枚つづり」「バラ売り」の3パターンを用意し、お金の数え方、あいさつの仕方を練習して本番を迎えました。大きな声で、お客さんに声かけをしていました。予想以上に列が並んでしまったけれど、焦らずマイペースに間違えることなく役割をこなしていました。集中力が途切れそうになったけれど、わざと1円玉や5円玉を出すお客さん!頑張ってね…と声をかけてくれるお客さん!様子を見に来て手伝ってくれるお友達!みんなの力も借りてやり遂げる事ができました。そんな子ども店員さんの様子をそっと見守っていたパパが最後まで頑張ったその子に、髪飾りをプレゼントしていました。照れくさそうなパパととっても嬉しそうな店員さん。忘れられない宝物になったと思います。
○劇「うさぎのパン屋さん~おおかみと森の動物たち~」
年長さんによるオリジナル劇の発表です。題名、内容など最初から最後まで自分たちで考えました。うさぎのパン屋さんでパンを買ったきつね君。森のお友達を誘って、みんなで一緒にパンを食べる事にしました。そこにおおかみが現れ、森の動物たちを襲わないという約束で一緒にパンを食べます。しかし、おおかみは約束を破ってみんなを食べてしまいます。お腹がいっぱいになったおおかみは寝てしまいました。たまたまそこを通りかかった動物がおおかみのお腹をはさみで切って助けてくれました。悪いことをしたおおかみですが、おおかみが「ごめんなさい」をしたので森のみんなは、おおかみを許すことにしました。最後は仲直りしてみんなで歌いました。とさ。おしまい。ざっとこんな感じのストーリーでした。ちょいちょい笑える場面もあり、完成度の高い劇でした。この劇は全てのお店が終了した後に行われたので、みんな90分働いた後に、見せてくれたものでした。疲れを感じさせず、堂々と立派に演じ切っていました。
最後に子ども達はお疲れ様カレーを食べました。みんなやり切ったいい顔をしていました。「おつかれさま」とお互いの労をねぎらいました。そこには成長した子どもたちの姿がありました。自分の為でなく、誰かの為に体も心も120%で頑張りました。それぞれの子が色々な想いめぐらせました。その想いが、隣の誰かに、そしてまた隣の誰かに繋がっていくことを願っています。そしていつの日か、その想いが世界中に届きますように。